Fujiwara H, Hasegawa M, Dohmae N, Kawashima A, Masliah E, Goldberg MS, Shen J, Takio K, Iwatsubo T: α-Synuclein is phosphorylated in synucleinopathy lesions. Nature Cell Biol 4:160-164, 2002

基礎
2002-1-28
109

新しい論文をNature Cell Biologyに発表しました

α-Synuclein is phosphorylated in synucleinopathy lesions

Hideo FujiwaraMasato Hasegawa, Naoshi Dohmae, Akiko Kawashima, Eliezer Masliah, Matthew S. Goldberg, Jie Shen, Koji Takio, Takeshi Iwatsubo

Nature Cell Biology 4(2):160-164 (2002)

doi: doi:10.1038/ncb748

高齢者に生じる神経変性疾患の中で、運動機能の冒されるパーキンソン病、アルツハイマー病に似た痴呆症状を示す「Lewy(レビー)小体型痴呆症」の頻度が増加しています。これらの疾患には有効な根本的治療法がなく、その発症機序も不明です。これらの疾患ではα-シヌクレインというたんぱく質が、神経細胞の中で異常を起こし、たとえば” Lewy小体”と呼ばれる線維状の固まり(封入体)をつくって蓄積することが、神経細胞の死滅や症状発現の原因の一つとみられており、まとめて「シヌクレイノパチー」と呼ばれています。しかし正常なα-シヌクレインがどのような原因で線維を形成するのか、線維をつくったα-シヌクレインにはどのような特徴が生じているかには不明の点が多く残されていました。今回我々は、Lewy小体型痴呆症やパーキンソン病の脳にたまったα-シヌクレイン蛋白を分析し、140個ならんだアミノ酸のうちの1個、129番目のセリンが特異的に「リン酸化」を受けていることを証明しました。リン酸化は、たんぱく質の機能を変える生体内の重要な反応ですが、神経細胞に蓄積したたんぱく質のリン酸化は、アルツハイマー病でもタウ蛋白にみられており、パーキンソン病でもα-シヌクレインのリン酸化がその蓄積・細胞障害に重要な役割を果たしている可能性があることがわかりました。またこの発見がシヌクレイノパチーの診断や治療に結びつく可能性も期待されます。パーキンソン病の有病率は人口10万当たり100人に近づきつつあり、特に高齢者ではその数倍に達しようとしています。Lewy小体型痴呆症は、かつてアルツハイマー病と混同される場合もありましたが、老化による痴呆症の原因としてはアルツハイマー病に次いで頻度がたかく、アルツハイマー病の20%前後にのぼることがわかってきました。以上の研究結果は 朝日新聞で紹介 されました。写真はリン酸化α-シヌクレイン特異抗体で染色したDLB脳皮質(緑に染まった球体がLewy小体、突起状に染色されるのがLewy neurite)

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